

船は浮力によって水に浮かび、流れに乗ることで人と物を運ぶ、原理的には非常にシンプルな輸送機器です。紀元前10000年頃、流木にヒントを得て、いかだのようなものが作られたのが始まりと考えられています。更に、漕ぎ手の人力や帆に受ける風力を動力とすることで、船による人と物の長距離移動が可能になりました。
その後、長い年月を経て、素材は木製から鉄製へと変わり、現在では強化プラスチックやアルミニウム合金のものもあります。動力も風力から蒸気機関、ディーゼルエンジン、ガスタービンと進化を続け、現在では太陽光発電のエネルギー利用も進められつつあります。
ヒトを運び、モノを運ぶことで人類の進歩を支えてきた船。そんな船の役割は近代以降急速に広がり続けています。
図は船の分類の一例です。ここでは、船を用途に基づいて分類していますが、船の大きさによる分類や、動力による分類、構造による分類等もあります。
商船
タンカー、バルクキャリア、コンテナ船(以上を「太宗船」と称することもあります)、自動車運搬船等があります。
客船
クルーズ客船、フェリー、連絡船(小型客船)などがあります。商船の中の一分類とする場合もあります。
艦艇・巡視船
防衛省・海上保安庁の保有する艦船です。
作業船・特殊船
タグボート、浚渫(しゅんせつ)船(海底を掘る)、サルベージ船、海底ケーブル敷設船、気象観測船、深海調査船、練習船など多くの種類があります。
漁船・プレジャーボート
漁船には、各種漁業船、捕鯨船、トロール船があります。プレジャーボートは、ヨット、小型クルーザー、水上バイクなど、マリンスポーツやレジャーに使用される船です。

船の定義を知っていますか?実は船と呼ぶためには、3つの条件が必要です。
- (1)水に浮かぶ「浮揚性」
- (2)人やものをのせる「積載性」
- (3)水上を移動する「移動性」
これらを満たさなければ、船とは呼べません。また、各条件を満たすために船には様々な設備が用意されています。数カ月をかけて海を渡ることもある船ですから、水上を動くだけでなく、船の上での「生活」という視点でつくられているということが、他の乗り物にはない大きな特徴でしょう。ここでは、ばら積み貨物船を例にとり、船の構造と仕組みをご紹介します。
レーダーアンテナ
周囲に電波を発射し、その反射波によって障害物の存在とそこまでの距離・方位を検知する。
ファンネル
船の煙突。船それぞれ独自にデザインされている。
機関室(エンジンルーム)
船を動かすエンジンのほかに、発電機なども併設されている。
プロペラ
船の推進器。プロペラに発生する推進力で船は進む。
舵(ラダー)
船の針路を保ったり、旋回させたりするために、船尾に設置されている。
救命艇
海上人命安全国際条約SOLASの規定に基づき、万一の事故や遭難に備えて装備される。
錨(アンカー)
海上に船を停泊するときに用いるおもり。
係船装置
桟橋や岸壁などに係留する際に使用する。
上甲板(アッパーデッキ)
船首から船尾まで行き来できる甲板。
船倉(カーゴホールド)
貨物を収納する場所。船首側がNo.1、船尾に向かってNo.2、3・・・となる。
デッキクレーン
ハッチ付近に設置され貨物の積み降ろしに使用される。
居住区
船員の部屋や食堂、厨房等がある生活空間。
ブリッジ
船長や航海士が船を操作する設備のある操縦室。

輸出入を合わせた日本の貿易量は年間9億トンあまりで、世界の海上貿易量55億トンの約1/6を占めています。その輸送の実に99.7%を担うのが船の役割です。
雑貨、穀物、木材、原油、LPG、LNG、石炭、鉄鉱石、自動車、石灰石、セメントなど、数え上げればきりがありませんが、それぞれの荷物を運ぶのに適した形で様々な専用船が生みだされています。
また、国土の四方を海に囲まれた日本では、海の安全を守るため、護衛艦・巡視船など多くの艦艇が今日も活躍しています。
そして、私たちの生きる場である地球の環境を調査し、保全する役割を持つ船もあります。
私たちの生活は、あらゆる面で、船と関わりあって成り立っているのです。
参考文献
1.上野喜一郎:船と海のQ&A(改訂版)、成山堂書店
2.宮本榮:図解 船舶・荷役の基礎用語、成山堂書店
3.池田良穂:プロが教える船のすべてがわかる本、ナツメ社